2004年: IP・設計部会・レポート
開催日時 題 目 ・ 講 師 会 場
第7回 1月28日
18:00-20:00
「MePを使ったプラットフォームベースSoC設計事例」  詳細 日本教育会館
第8回 2月19日
18:00-20:00
「携帯電話の最新動向」                 詳細   日本教育会館
第9回 3月18日
18:00-20:00
携帯電話での3Dゲームを含む最新デジタルコンテンツの現在、
  そしてビジョン
                     詳細     
日本教育会館
第10回 4月20日
18:00-20:00
デジタル情報家電用SoC開発の現状と今後     詳細  日本教育会館
第11回 5月11日
18:00-20:00
「携帯電話端末の発展とLSI技術革新への期待」    詳細 神田明神会館
第12回 7月6日
18:00-20:00
「RFID用LSI及び実装技術の技術トレンド        詳細 神田明神会館
第13回 8月2日
18:00-20:00
「セットメーカが望むSoC開発とIP調達          詳細
         ーDSC用SoC開発の現状と課題ー
  
日本教育会館
第14回 8月30日
18:00-20:00
「デジタル家電向けSoC/SiPへの要求と課題      詳細
       および ベンチャービジネスへのチャレンジ」
神田明神会館
第15回 9月27日
18:00-20:00
「無線LANの市場、技術動向と               詳細
       沖ネットワークエルエスアイの戦略」 
神田明神会館
第16回 10月28日
18:00-20:00
「プロジェクタの市場・技術動向とLSIへの課題・要求」 詳細 神田明神会館
第17回 11月10日
18:00-20:00
「LLC制度とこれを活用したベンチャー連携のケーススタディ」
                               詳細
日本教育会館
第18回 12月10日
18:00-20:00
@「次世代300mmFab枚葉搬送SystemSolution」
 A「次世代300mmFab枚葉搬送システム」
      詳細
日本教育会館
・協会事業>部会・委員会
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            2005年 | 2003年
2004.1.28                第7回 IP・設計部会               JASVA通信  号に掲載
『 MePを使ったプラットフォームベースSoC設計事例 』
 講師:松井 正貴 氏   (株)東芝 セミコンダクター社 SoC研究開発センター
                      デジタルメディアSoC技術開発部部長

  第7回IP・設計部会のご案内をお送りいたします。
  今回は、鞄月ナ SoC研究開発センターの松井氏に、「MePを使ったプラットフォームベースSoC設計事例」と題してご講演をいただきます。

 松井氏のご専門は、デジタル論理LSIおよびメモリーの回路設計と論理設計で、現在、SoC研究開発センターデジタルメディアSoC技術開発部 部長。
 画像処理の最近の動向、事例、設計手法論としてのMeP−(アーキテクチャ)プラットフォームベース設計によるデファクト標準化された環境の提供と、その上でのVBのビジネス機会などをお話いただきます。

  なお、IP・設計部会はベンチャー企業と大手半導体企業、商社、セットメーカとの出会いの場を提供するを目的とした部会で、ここ数回はアプリケーション・マーケットシリーズと題うって、これからの期待分野に焦点を当てた講演シリーズを展開しています。


IP・設計部会で講演する松井 正貴氏
 [講演概要]
 ☆コンセプト
  東芝が提供するシステムソリューションである階層プラットフォーム、即ち テクノロジープラットフォーム、プロセッサープラット
  フォーム、SoCデザイン プラットフォームを解説。多くの複雑な機能を短期間で実装し、既存の設計 資産(IP)をできるだけ
  再利用する為の一貫した設計プラットフォームの必要性を指摘、事例としてMPEG-2CODECを取り上げ説明。
   次いでIPベース設計技術の問題点を指摘しプラットフォームベースの設計技術の利点を力説。
  例としてMeP(Media Embedded Processor)によるシングルチップ・マル チプロッセッサを上げ、MePベースアーキテクチャー
  を説明。  さらにMePの 設計階層とMePベースの特長を詳述。

  ☆MePコアの概要
  MePコアとはデジタルメディアSoCに組み込まれるマイクロプロセッサであり、コンフィギャラブルで且つ拡張可能(命令、HW)
  なソフトIPが特徴で、東芝オ リジナルのCPUアーキテクチャー。ベースコアプロセッサ、コンフィギュレーション部、
  ゲートサイズ面積、動作周波数、消費電力等の説明がなされた。
  さらにMeP-c2コアの主なコンフィギュレーション項目、命令フォーマット、他のプロセッサとの性能比較、RTLの特長
  MePモジュールなどの説明があった。

  ☆アプリケーションプラットフォーム
  1チップBSデジタルデコーダ、DVDプレーヤー用LSIシステムVD−PG6等の事例について説明がなされた。
   後者ではオーディオ/ビデオバックエンド処理(MePモジュール)、フロントエンドプロセッサ、マイクロコントローラをワンチップ
  に集積。
  またVD−PG6におけるMePの再利用、ビデオMePモジュール(CODEC用)、ASP MeP Module(汎用オーディオDSP)等の
  説明があった。

  ☆設計手法
  MePのデザイン改変手段、C言語からのトップダウン設計フロー、MePの基本開発フロー(HW/SWコデザイン)、MeP
  インテグレータによるツール生成の説明があり、車載用画像認識LSIの事例の説明があった。この説明ではIP再利用、
  最適化されたVLIWのデータパス、VLIW拡張命令最 適化、開発期間の短縮化などについて詳述。

  ☆MePのロードマップ他
  MePビジネスモデルの考え方として、特にデジタルコンシューマ向けSoCのOpenPlatformとしてDe Facto Standardの達成
  を目指し、設計資 産(IP)の蓄積と再利用を進め、顧客のHW開発、SW開発のサポートの充実を図る。
  これらを通じてMeP IP Licensing ビジネスを行い、アライアンスパートナーづくりを行う。
  MePコアロードマップが紹介され、MeP−c2コアを提供するものとして、5種類の試用RTLがWebからダウンロード可能との
  説明があった。  (参考 ホームページ: www.MePcore.com )
   ついで、MeP周辺IP、2004MeP IP ロードマップ、MePツールのハイライト、SW開発ツール、HW/SW協調設計・検証ツール、
  実機検証ツール、下位設計支援ツール、2004MePツールロードマップ等の紹介があった。

  松井さんの講演はIP・設計部会にふさわしい専門的な内容で、講演のあとの質疑応答も高度に専門的であった。
  門外漢の筆者には表面をなぞるだけの報告しかできないので、興味をお持ちの会員は是非部会に出席されることをお勧めします。
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2004.2.19            第8回 IP・設計部会                  JASVA通信35号に掲載
『 携帯電話の最新動向 』
 「W−CDMAの技術動向」 平田勝 氏(NEC モバイルターミナルコアテクノロジー開発本部) 
「携帯電話の市場動向と半導体に与えるインパクト」 泉谷渉 氏(半導体産業新聞編集長)
 
   第8回IP・設計部会のご案内をお送りいたします。
  IP・設計部会はベンチャー企業と大手半導体企業、商社、セットメーカとの出会いの場を提供するを目的とした部会で、ここ数回はアプリケーション・マーケットシリーズと題うって、これからの期待分野に焦点を当てた講演シリーズを展開しています。
  今回はIP・設計部会アプリケーションマーケットシリーズの第6弾として「携帯電話の最新動向」に迫ります。

 講師はNEC モバイルターミナルコアテクノロジー開発本部の平田氏 および半導体産業新聞の泉谷氏。 平田氏にはW-CDMA用デジタルベースバンドLSIについて、半導体への要求、 ベンチャーへの期待なども含めてご講演いただきます。 また泉谷氏には、最新の携帯電話市場動向についてお話を伺います。

 第8回IP・設計部会が2月19日東京都千代田区一ツ橋の日本教育会館において開かれました。
 テーマは「携帯電話の最新動向」で、まず前半で半導体産業新聞編集長の泉谷渉氏が「携帯電話の市場動向と半導体に与えるインパクト」について講演しました。
  次いでNEC潟coイルターミナルコアテクノロジー開発本部主任の平田勝氏が「W-CDMA用デジタルベースバンドLSI」について講演しました。

 
IP設計部会で講演する泉谷氏(右)平田氏(中央)
および
釜原事務局長

泉谷渉氏「携帯電話の市場動向と半導体に与えるインパクト」: 講演概要)
  世界の携帯電話出荷台数はカラーディスプレイ効果とカメラ機能搭載が牽引車となり、2003年は前年比 14%増の4億6000万台となった(調査機関によっては5億台突破という所もある)。
  2004年の出荷の伸びの予測値は調査機関により6%〜7%から20%までばらついている。2003年は世界トップのノキア(世界シェア33.6%)、サムスン(同9.9%)、LG(同5.2%)がシェアを拡大。モトローラ(同14.1%)、シーメンス(同8.5%)は苦戦、ソニーエリクソンは一時メタメタだったがここに来て巻き返した。
  中国市場は拡大が続くが、成長率は徐々にスローダウンしている。
  死んだと思われたPHSが中国で爆発的にヒットしており、2006年頃には6000万台強の出荷が見込まれる。
  カラー化比率は現状で30%〜40%と見られるが2004年末には60%〜70%にまで増大することは確実で、いずれ100%カラー化に向かう。
  これにより、LED、液晶ドライバー、フラッシュメモリ、フォトマスクなどが好影響を受ける。
  着メロ用音源IC搭載率は2004年段階で27%に達し、近未来的に100%になる。
  カメラ付携帯が爆発的に伸びており、すでに5700万台を突破。
  このためCCDは急拡大しており現在は100万〜150万画素中心であるが、今後は200万画素以上にひき上がりデジカメと激しく競合する。     GPS搭載でMCU、専用プロセッサが伸び、且つシステムLSIの微細化が一気にすすむ。
  デジタルテレビ機能も注目され、これまで使われなかったDRAMにインパクトを与える。
  将来的にはDVDなどのビデオ・オン・デマンド機能も考えられ有機ELや各種のイメージデバイスに大きなインパクトを与える。
  さらには、現金決済機能、ICカード機能、MP3プレイヤー、家電品へのリモコン等々携帯電話はまさに魔法の杖になる。

(平田勝氏:「W-CDMA用デジタルベースバンドLSI」 講演概要)
@3GPP概要説明
  3rd Generation Partnership Project は無線通信標準化団体(ARIB, CWTS,ETSI,T1,TTA,TTC)の間の共同作業として発足、GSMコアネットワークの発展形として世界標準の移動通信システム構築を目指す。
  第3世代の移動通信システムで、通信方式はDS-CDMA、チップレート3.84MHzを採用、使用周波数帯域は1920-1980MHz(移動機送信周波数)、2110-2170MHz(基地局送信周波数)。
  3GPP標準化のためにRelease-99(W-CDMA基本技術の仕様化)の初版が1999年12月に出て、以降今日に至るまで3ヶ月毎に仕様が改版されている。
改版の内容はプロトコルの整備、位置検出の対応、高速通信への対応、多様化するサービスへの対応などである。3GPP(W‐CDMA)の概要として、拡散処理の概要、セルサーチ(基地局検索)、パスサーチ(マルチパス検索)、フィンガー,レイク(マルチパス合成)、ソフトハンドオーバー、パワーコントロール、基地局送信ダイバーシチなどの説明がなされた。
3GPPの複雑な仕様に対応する為に、DSPの採用が有効で、汎用DSPと専用に開発したμDSPを採用した。

A今回開発のLSI紹介
伝送系の全体ブロック図、デジタルベースバンドLSIのブロック図、デジタルベースバンドLSIの機能
諸元、デジタルベースバンドLSIの諸元、汎用DSP(μPD77210)の緒元、開発したμDSPの諸元などに
ついての説明がなされ、また待ち受け時間向上対策、通話時間の向上対策について説明があった。LSIの検証ではLSI全体のシステム検証、HWエミュレータでの検証及びHWエミュレータでの受信性能検証について解説された(以上の詳細は紙面の都合により省略)。開発されたLSIの写真が紹介され、LSIのプロセス概要が紹介された。

Bまとめ(今後の課題)
 ・多様化するサービスへの追従・LSIの統合(デジタルベースバンドとCPUの統合、またはアナログベースバンドも統合)
 ・LSI内部メモリの微細化(LSI統合や高速伝送速度対応によりメモリ増加、更なる微細プロセスの採用とリーク電流低減)
 ・W-CDMA用デジタルベースバンドLSIへの要求事項として、流動的な3GPP仕様への追従、更なる低消費電力化、更なる低価格化、設計検証のTAT短縮などがある。

前段の泉谷氏の話は業界裏話的なものもあり、事後のアンケートでも好評でした。
 後半の平田氏の話は専門的技術の話で、この分野の最先端の状況がおさらい出来たのではないかと思います。質疑応答も専門的なやり取りが活発に行われ、IP・設計部会らしい有意義なセミナーであったと思います。
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2004.3.18            第9回 IP・設計部会              JASVA通信36号に掲載
携帯電話での3Dゲームを含む最新デジタルコンテンツの現在、そしてビジョン
講 師 :武田政樹氏  (株)インタラクティブ ブレインズ  代表取締役

 第9回IP・設計部会が2004年3月18日(木)18時〜20時に日本教育会館において開催されました。
 今回はIP・設計部会アプリケーションマーケットシリーズの第7弾として、「携帯電話での3Dゲームを含む最新デジタルコンテンツの現在、そしてビジョン」と題して、(株)インタラクティブブレインズ  代表取締役の武田政樹氏にご講演いただきます。

 武田氏は、東大工学部卒業後ゲーム大手の(株)ナムコを経て2001年4月にインタラクティブ ブレインズを設立。同社は携帯電話用コンテンツ開発ではi-mode立ち上げ時からの開発実績を持ち、ナムコよりの開発経験を生かした端末のシリーズ初期に向けた技術的難易度の高いハイエンドコンテンツ開発に力を入れています。世界初の本格的3Dゲーム「リッジレーサー」「スターブレード」等が近年の製品。
 現在は、携帯向けのオリジナルコンテンツ配信に向け、ハイエンド3Dゲームコンテンツを複数開発中です。

 
IP・設計部会で講演する武田正樹氏
(講演の概要)

「携帯電話コンテンツの現状」
  コンテンツは出揃い市場は飽和状態になっていてコンテンツの選別が進行中。キャリアのポータルも飽和状態である。
  メニューの上の方にアクセスが集中しており新規参入は難しい。

「携帯電話向けコンテンツの新しい可能性」
  ・CPUパワー、画面の描画速度の上昇(ARM9の使用)、使用可能なメモリ容量の増大等を背景にリッチな2Dゲームコンテンツ
   が出てくる。
  ・また携帯端末の競争激化により性能が向上していることや、2Dコンテンツが飽和傾向にあること、 3Dチップセットの採用が急速に
   進んでいる事などにより、今後3Dゲームコンテンツが急速に発展する可能性がある(ちなみに当社はリッジ・レーサー、
   スターブレード等を開発)
  ・定額制の導入によりパケット料金の低下が期待され、サーバー敷設費用や運営費用の低下、携帯向けコンテンツの技術者の
   習熟度上昇なども相俟って、本格的ネットワークゲームの普及が始まる。
  ・今後の需要の伏兵となる可能性を秘めているものにデジタルコミックがある。日本人のマンガ好きや膨大な知的財産を考えると
   潜在需要は膨大だと思う。

「新規エンターテイメントコンテンツの共通の性質」
  ・見ることによる快感: 画面の小ささはリッチコンテンツビジネスにとり、最大の阻害要因。大画面(3〜4インチ)が必要(現状2.4インチ)。
  ・ハイエンド画像: まだまだCPUのスピードが遅い、
  ・カスタマイズとコレクション:数ギガ程度のメモリはすぐに消費。ハードディスクやそれに類した大容量低価格メモリの実装が必要
  ・何時でも何処でもアクセス: 良質な通信手段(価格、スピード、安定性)定額制の導入 (今始まったところ)、
   短距離通信のニーズ増(Bluetooth)。
  ・長時間連続使用: 燃料電池の採用、外での補給手段 等が必要。 

「新規エンターティメント端末の市場性」
   キャリヤやメーカーはコストが上がるからそんな製品は無理といつも言う。現在の市場が飽和し、 方向性が欠如していることは明白。
   新端末での明確なニーズは見えている。コンテンツ製作者の切なる願いである。必ずどこかがやるはずである。

「携帯電話は何処に向うのか?」
   ・携帯電話は何に成ろうとしているか?・・全ての人の第一のPrimary(最も身近な・最も便利な・ 最も大切な)ツールである。
   ・携帯電話は「存在」しているべきか?空気のような存在になっていくべきか?
   ・ツール=道具の最終形とは何か? 携帯電話がその答えを導く事になる。

「将来ビジョン・・携帯電話の最終形」
   ・脳にインプランティングされた電気的インターフェース人々はESPを操るように他の人と会話する
   ・拡張された脳の一部処理、記憶をローカル(端末)とグローバル(ネットワーク上)に持ち、その人間の脳の機能を代行する
   ・新しい人類の誕生: 生まれつきその装置とのインターフェースを持つようにDNAにコードを埋め込まれた人間の誕生  

 最後は夢のような話が紹介されましたが、質疑も活発に行われました。メーカーがコンテンツ製作者の要望をなかなか聞いてくれないという話に関連し、日本の大手半導体IDMの問題として目先の仕事の処理に追われて長期的な市場ニーズを睨んだ開発が疎かになっている事などが議論されていました。 
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2004.4.20            第10回 IP・設計部会            JASVA通信37号に掲載
『デジタル情報家電用SoC開発の現状と今後』
講 師 :松澤昭氏  東京工業大学 大学院理工学研究科 電子物理専攻 教授

 第10回IP・設計部会が4月20日/18時〜20時に日本教育会館において行われました。

 半導体市場の牽引車として注目されるデジタル情報家電を再び取り上げ、この道の第一人者、東京工業大学大学院理工学研究科電子物理学専攻の松澤昭教授に、「デジタル情報家電用SoC開発の現状と動向」と題して講演して頂きました。
 松澤先生は松下電子工業轄ン籍時代、LSI研究開発に従事、数々の業績を上げられ、学会でも数々の賞を受賞、IEEEのフェローにもなられています。

     講演概要は以下の通りです。


東京工業大学教授 松澤昭氏
  デジカメ、カメラ付携帯電話、DVDレコーダー、デジタルTV、FPD等のデジタル情報家電機器が大きく成長、世界的にもこれらデジタル機器が従来のアナログ機器を完全に置き換えつつある。
 デジタル情報家電機器の半導体投入係数は、アナログ機器の25%前後から50%前後に増えパソコンの半導体投入係数とほぼ同じ、付加価値の大半は半導体が担っている。

 デジタル情報家電用SoCは超高速メディアプロセッサー、ローパワー処理系、アナ・デジ混載系の3つに分類できる。
 メディアプロセッサーは汎用プロセッサーの1桁以上の処理能力が求められる。ローパワー処理用SoCは超低電力、低リークが要求され、素子の微細化・低電圧化の他、クロック当たりの処理能力を上げるための並列処理技術、専用ハードウエア処理回路、クロックゲートなどのシステム・アーキテクチャ・回路技術が総動員される。
  アナ・デジ混在型信号処理は殆どのシステムに用いられ、SoC化のため従来のBiCMOS技術にかわり、CMOSを用いる必要がある。
 CMOSアナログ回路は単なるバイポーラ回路の置き換えではなく、CMOSの特徴を活かした回路・システム技術を用いるべきで、デジタルでできるものをアナログでやっても意味が無い。アナログ回路は微細化と無縁だと言うのは間違いである。
 SoC開発にはシステム、回路、デバイス、プロセス、パッケージ、テスト等々全部絡むので、従来のバケツリレー形開発体制からシステムドリブンな開発体制へ移行する事が大切である。

 LSI技術課題の中ではパワーの問題が大きい。
 プロセッサーの消費電力は100Wに達し、さらにリーク電流が急速な勢いで増大しており技術の限界に直面している。超高速動作の課題では配線遅延時間短縮の目途がつかない事が大問題。ISSCCにおいてもCPU10GHz限界説が有力で、アーキテクチャーを変えた方がいいとの議論あった。
 不揮発性メモリの大容量化が爆発的に進み微細化だけでは追いつかない。MRAM等のフラッシュ以外の不揮発性メモリの実用化が早まり、3次元積層パッケージ技術等の単位面積当たりメモリ容量を増加させる技術が加速(これはパワーの問題をクローズアップさせる事になる)。
 また、デジタルTV、ゲーム機などメモリー・ロジック間の大容量データ転送の必要性が高まり、Chip on Chip技術などのチップ張り合わせ実装技術が期待される。

 アナログ系ではRFの技術が中核となりワイヤレスが伸びる。ワイヤレスの世界ではRF CMOSがメジャーで、今後はCMOSによるワイヤレスネットワークの実現が当たり前になる。
 松澤研ではRFアナ・デジ混載LSIに関するシステム・回路・設計手法の体系的な研究を推進中。大学は技術者・設計者の育成と新技術の創出のふたつで貢献すべきと考えている。学生を技術者として教育すると共に、企業の技術者の再教育も行いたい。企業では採算の取れないテーマの研究は事実上不可能なので、社会的に重要な技術は大学でシステム開発まで行いたい意向である。

 集積回路技術は既に様々な限界に直面している、微細化は今後も進めなければならないが、同時に横展開を図る事も重要である。微細化技術の課題は既に青年期を過ぎ、成人病に近い状況にある。延命はできるが完治は難しい、どうしても新たな技術の芽を育てる必要がある。


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2004.5.11            第11回 IP・設計部会              JASVA通信37号に掲載
『携帯電話端末の発展とLSI技術革新への期待』
講 師 :安田 豊氏 KDDI株式会社 執行役員 au事業本部 au技術本部長

松永 彰氏                 
au技術企画部次長

    第11回IP・設計部会は5月11日/18時から神田明神会館で開催され、半導体市場を牽引するアプリケーションの一つである携帯電話端末が取り上げられました。

講師はKDDI且キ行役員au技術本部長安田豊氏と同社au技術企画部次長松永彰氏で、「携帯電話端末の発展とLSI技術革新への期待」という演題で講演されました。講演概要は次の通りです。  

KDDI(株)安田豊 氏(右)および松永彰 氏
  日本における携帯電話の加入者台数は2004年3月末時点で8152万台、
  内W−CDMA:1669万、cdmaOne:345万、PDC:6138万、アナログ:0で、
  日本におけるインターネット対応端末は2004年3月末6970万、内i-mode:4110万、EZweb:1570万、Vf-live:1290万。

  “au”ケータイはcdmaOne(64Kbpsパケット)→CDMA200 1X(144Kbps)→CDMA1X(2.4Mbps)と発展してきた。
 今後のケータイの進化は@カメラと通信の融合、A位置情報の活用、B財布・定期替りの3つが考えられる。

  携帯端末の基本構成要素はCPU、メモリ、液晶、カメラ、バッテリで、現在の搭載デバイスはメイン/サブ液晶、メインCPU、
  アプリプロセッサ/DSP、カメラ/フラッシュライト、メモリ、外部メモリ、バッテリ等である。
  次いで携帯端末のアーキテクチャーとして2CPUアーキテクチャーの例の説明、メインCPUの変遷、
   アプリプロセッサ に求められる機能などを解説した。
  メモリに求められる機能、外部メモリ、高セキュリティ・高機能カードとしてのUIM(User Identity Module)の説明があり、
  電子財布、電子チケット等の付加価値提供の可能性を紹介した。
  液晶ではメイン液晶、サブ液晶、サイズ、精細度、輝度の紹介が、カメラではCMOSセンサ、CCDセンサの仕組みとメリット、
  ディメリットなどがそれぞれ説明された。

  モバイル技術の将来動向としては、
@ ケータイのパーソナルデバイス化が進み、携帯に各種機能を取り込み、高機能化をはかることで携帯の利用範囲は
   さらに広範囲なものとなると予測。  また、
Aケータイのパーソナルゲートウエイ化も進み、ケータイがHUBとなる事によりネットワークから取り込んだ情報や
   ローカルに持つ情報と外部デバイスとの連携が可能となると予測した。

  さらにケータイを中心としたユビキタスソリューション実現に向けた動きを解説するとともに、数年後のケータイ端末のイメージとしてCPU200〜300MHz以上(現行の倍以上)、メモリ1GB、シームレスローミング、TV/プリンタ連携等が示された。ユビキタス社会へのキーファクタとして、ローカルワイヤレスインターフェース(IrDA、Bluetooth、RFID、W-LAN、UWB、etc.)のさらなる進化、データ通信の高速化、低価格化、高速な応答性、大容量メモリカードの低価格化、プライバシーへの配慮、バッテリ保持時間の増加が挙げられた。

 一方、LSI技術に期待する事として、
  @CPUの高速化(高音質、メガピクセルカメラ、滑らかな動画像、電子財布)、
  Aクロックスピードの向上とLSI消費電力の低減、
  BLSIコストの低減、
  Cアプリケーションの為のフレキシブルなプラットフォームの提供等が挙げられた。            


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2004.7.6            第12回 IP・設計部会            
『RFID用LSI及び実装技術の技術トレンド』
講 師 :
笹井幸一郎氏  凸版印刷株式会社 ICビジネス本部

  第12回IP・設計部会は7月6日 18時から神田明神会館で開催されました。

  凸版印刷株式会社 ICビジネス本部 笹井幸一郎氏が 「RFタグ市場動向及び
  技術動向」と言う演題で以下の項目につぃて講演されました。

RFタグとは?
  非接触RFタグ・・・ 「モノ」に取り付けるデータキャリヤリーダ/ライタからの無線
 通信信号によりいつでもRFタグ内の情報を読み出したり、追加書き込みができる。
  特徴としては、非接触で通信、データの書き換えができる、複数同時読み取りが
 できる、データ量が多い(512bit〜2048bit)、遮蔽物があっても通信できる、
 移動中でも通信ができる、サイズ・形状が自由、システムへの負荷が低減できる
 などがある。
  光学系コードとの比較ではRFタグが優位に立つが媒体価格が高いという大きな
 ディメリットあり。

IP・設計部会で講演する笹井
RFタグの種類: 3種類の周波数帯(135KHZ未満、13.65MHz、2.45GHz)製品を用意(凸版)。
市場: カード(社員証、学生証、ポイントカード)、畜産識別、コンテナ/パレット識別  リネン/制服管理、食堂の皿管理、
   ブランド品真贋識別、盗難防止ラベル、  有価証券真贋判定、伝票物流管理、バゲッジタグ、玩具、ゲーム、入場券 
アプリケーション比率: OA・レジャー、セキュリティ、物流・運輸、流通・POS、FA 毎の市場の比率を説明
実証実験:  次世代シャーシ管理システム、SCM系〜CRM系、アパレル業界等で実施中
市場展開予測: 2003年第1世代(125KHz) 工程・物品管理 ・・市場はクローズド、オフライン
             2006年第2世代(13.56MHz) 特定SCM市場、食品トレーサビリティ他
             2010年第3世代(UHF帯/2.45GHz) 食品・物品・書籍流通、他 ・・市場はオープン
省庁の動向:総務省、経産省の動きを解説
海外動向:欧米で大きな流れがある大手小売業のイニシアティブで導入が加速
         米国防省、米食品医薬品局がそれぞれ物資供給の正確化・効率化  及び薬品トレーサビリティを追求 
RFタグの技術動向:低コストを求められる・・バーコードの置き換えと言う発想、アンテナ基材がコストダウンのポイント。
    その他ICカード用LSI回路構成例、  RFタグの代表的な実現例、RFタグ用半導体プロセス動向、接続方法、アンテナ、
    信頼性等について説明あり。
凸版印刷の取り組み:   全社組織連携による市場創出、オリジナルチップ、LSI目標仕様等について説明。
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2004.8.2            第13回 IP・設計部会                 JASVA通信40号に掲載
セットメーカが望むSoC開発とIP調達-DSC用SoC開発の現状と課題-
講 師 :栗林正雄氏 オリンパス梶@研究開発センター 執行役員 SoC技術部長


  第13回IP・設計部会が8月2日18時〜20時に東京千代田区の日本教育会館にて開かれた。

 オリンパス(株)研究開発センターSOC技術部長執行役員栗林正雄氏が「セットメーカが望むSoC開発とIP 調達」〜DSC用SoC開発の現状と課題〜と言う演題で講演した。

 セットメーカにSoC開発の未来はあるか? と言うサブタイトルのもと、DSC用SoC開発を例にセットメーカの課題について説明。
 オリンパスにおける現状、問題点、課題、次世代SOCに向けたオリンパスのアプローチの紹介がなされた。

IP・設計部会で講演する栗林氏
  具体例として新画像処理エンジン「True Pic TURBO」の紹介があり、画質の向上、処理スピードの向上に関してProper Color TechnologyII、Advanced Noise Filter Technology II等について解説された。
  製品差別化創出への拘りとして、キーデバイスは自社で設計するのがオリンパスの方針。
  LSIベンダーとの共同開発での問題点として、パートナー会社から適正なリソースが得られにくい、情報共有と機密保持のバランスが難しい等を指摘。

  次いで回路の大規模化と検証爆発の問題を取り上げ、その問題解決のアプローチを説明。
  SOC開発の課題として大規模化、省電化への対応、莫大な開発投資への対応、開発期間の短縮、検証体制の更なる強化等が挙げられ、また、IP調達の課題も議論された。
 セットメーカの抱く危惧として、今後セットメーカはカスタムLSIの開発を継続できるか?勝ち組のみがSOC開発のチャレンジ権を持つのか?等があると指摘。

  セットメーカが望むSoC開発とIP 調達に関しては、先ず、SoC開発では強固なパートナーシップ展開でWin-Winを構築する事が必要で、そのため3〜5年レンジの経営レベルの握手が不可欠。
  IP調達では、IPサプライヤーに求める理想像はソリューション提供者であり、システムに最適なIPに仕立て上げたいとする。

  次世代SOC開発に向けたオリンパスの試みとして、リコンフィギャラブル・プロセッサ・アレイ技術の導入などを説明。課題山積だが敢えて挑戦する!とのこと。

  最後に日本には多くの優秀な半導体ベンダーがあり、多くの優秀なセットメーカがあるのに、何故日本の半導体産業はダメになったのか?絶対に復活できる筈だとの思いを発露され、会場から多大な共感を呼んだ。

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2004.8.30            第14回 IP・設計部会              JASVA通信41号に掲載
「デジタル家電向けSoC/SiPへの要求と課題      
       および ベンチャービジネスへのチャレンジ」

講師: 岡本光正氏 鞄月ナ PC&ネットワーク社 経営変革統括責任者

 第14回JASVA IP・設計部会セミナーは (株)東芝PC&ネットワーク社
 経営変革統括責任者 岡本光正氏が「デジタル家電向けSoC/SiPへの要求と実現
 への課題およびベンチャービジネスへのチャレンジ」と題して講演が行われました。

  
岡本氏は東芝入社以来、ミニコンピュータCPU設計、32ビットMPU研究開発、社内情報機器用システムLSI開発
   に従事し、ノートPC用チップセット開発、2.5"/1.8"用HDC、DVD Player用LSI等の開発を行なわれました。
   近年は、(株)東芝PC&ネットワーク社経営変革責任者として、効率化経営に 取り組んでおられます。


 講演概要は次の通りです。

IP・設計部会で講演する岡本氏
  先ず、今なぜデジタル家電が急成長し始めたかについて、社会インフラの進展、コンテンツサービスの出現、記録メディア
  の出現、新しい表示デバイスの出現、半導体技術の継続的進歩から順次説明。
  次いで、デジタル家電に要求されるものとして、放送受信機能、通信機能、映像出力機能、コンテンツ読出し・保存機能、
  システムコントロール機能等取り上げ解説した。

 そしてデジタル家電実現へのアプローチとして3つのケースを紹介した。
 @PCプラットフォームからのアプローチ:
   PC標準プラットフォームへ放送受信機能及び高品位AV機能の付加により実現。
   このアプローチでは開発費は安価に抑えられるが、冗長機能が多く高コストであることが問題。
 A携帯電話端末からのアプローチ:
   携帯性を維持しながらの機能追加が鍵となり、小型部品、低消費電力部品の開発が必要。携帯電話端末メーカ自身は
   儲からないのもこのアプローチでの問題となる。
 BAV機器からのアプローチ:
   記憶媒体追加、ネットワーク機能の追加により実現。
   課題は低コストを維持しながら追加機能を集積、新サービス出現時の機能拡張確保等である。
   この他にゲーム機器からのアプローチも考えられるが、主流とはならないであろう。

 デジタル家電の機能構造としては
 @放送受信(地上波、BS、AM/FM)、
 Aコンテンツ読出し・保存(HDD、CD、DVD、HD-DVD、モバイルメディア)、
 B通信(有線:10-T/100-T、1394、無線:11a,b,g、Bluetooth、セルラーフォン)、
 C映像出力(アナログ出力:NTSC,PAL,SECAM、デジタル出力:DVI,D3,D4、表示デバイス:CRT,LCD,PDP)
  があり、さらにシステムコントロールが必要であり、且つ機能拡張性が求められる。

  次いで、上記3つのアプローチの各々について機能追加、機能実現のキーポイントについて詳細な説明がなされ、デジタル
  家電用SoCの現状について、機能集積による複雑化、アーキテクチャーの変化による必要技術分野変化、サービスの多様化
  による商品サイクルの短期化などについて解説が行われた。

  最後に、デジタル家電用SoCの開発リスクに触れ、今後のデジタル家電用SoCの道筋として、機能拡張性の確保、
  アーキテクチャー設計の効率化、部品コストの低減等について詳しい説明がなされた。

  以上、デジタル家電技術動向とそのSOC実現への課題が実に体系的に述べられ、大変得るところの多い講演内容であった。
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2004.9.27            第15回 IP・設計部会       JASVA通信42号に掲載
「無線LANの市場、技術動向と沖ネットワークエルエスアイの戦略」

講師: 今井 忠男氏 (株)沖ネットワークエルエスアイ 戦略マーケティング部 部長

  2004年9月27日18時から20時までの間、東京・
  千代田区の神田明神会館において、第15回 IP・
  設計部会が開催された。

  (株)沖ネットワークエルエスアイの戦略マーケ
  ティング部部長:今井忠男氏が「無線LANの市場、
  技術動向と沖ネットワークエルエスアイの戦略」と
  題して講演した。

  講演概要は次の通り:


IP・設計部会で講演する今井氏
  沖ネットワークエルエスアイはARM、MePベースのSoC開発、無線LANを中心とした通信系IPの提供、
 高品位機能検証という3つのソリューションを提供する。最近の無線通信分野はユビキタスの時代を迎え、
 身近なものに無線機能が搭載され、ネットワークに繋がって拡大している。

  無線ネットワークは多様な通信方式が開発されており、802.11X無線LAN方式では802.11,802.11a,
 802.11bがあり、周波数帯2.4GHz及び5.2GHz帯とDSS,FHSS, OFDM等の無線方式との組み合わせで
 分類される。
  また、PAN(Personal Area Network)802.15方式ではBluetooth,UWB,Zigbee等があり、これらの比較
 について解説された。
  無線LANの標準化状況としてIEEE802 委員会の紹介があり、IEEE802.11(WLAN)標準化動向の説明
 があった。この中で、特にTGe、TGi、TGj、TGn、TGs、TGr 等について個別の詳しい解説がなされた。
  また、Wi‐Fiアライアンス及びIEEE802.15(WPAN)標準化の動向についての説明もあった。
 無線LAN市場動向では無線LAN向けチップ/モジュールの発表状況が紹介され、村田製作所や
 アルプス電気から出された11bモジュールが注目される。

  次いで、沖ネットワークエルエスアイが提供する無線LANソリューションの紹介。同社の技術開発
 への取り組みが紹介されたが、この中で無線のブロードバンド化に必要な技術、OFDM(直交周波数
 多重方式)技術、セキュリティ技術、無線LAN IPビジネスの今後などについての説明があった。

  最後に、今後の無線LANの技術動向の詳細な説明があり、無線はもっと身近になっていき、
 かつ市場も大きくなる。また、無線LANは有力な技術のひとつであり、発展していくことは間違いない。
 技術は益々高度化し専門化するので、自前で全ての開発をやることは不可能であり、JASVA会員企業
 とのコラボレーションに期待を表明し講演を終えた。
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2004.10.28            第16回 IP・設計部会      JASVA通信43号に掲載
「プロジェクタの市場・技術動向とLSIへの課題・要求」

講師: 赤坂 昌恒氏 セイコーエプソン(株) 映像機器事業部 LCP設計部 部長

  2004年10月28日18時〜20時、東京・千代田外神田の
 神田明神会館において第16回JASVAIP・設計部会が開かれた。

  今回はIP・設計部会アプリケーションマーケットシリーズの第14弾として
  「プロジェクタの市場・技術動向とLSIへの課題・要求」と題し、セイコーエプソン株式会社の赤坂 昌恒氏にご講演いただきました。

 赤坂氏は1982年にセイコーエプソンに入社以来、ページプリンタ設計、フロントプロジェクタ設計を担当。現在は映像機器事業部 LCP設計部部長としてご活躍されています。

第16回IP・設計部会で講演する赤坂氏

最初に調査会社のデータを用いてプロジェクタ市場動向について説明された。世界市場で見ると2003年
 の規模257万台が2008年には1080万台になると予測される(年率30%の伸び)。
 金額ベースでは2003年59億7千万ドル、2008年71億1千万ドルとなり年率3.7%伸びとなる。この間価格低下が相当
 進む事が予測される。
  地域別の市場規模と伸び、世界市場におけるメーカ別シェア、解像度別、輝度別市場規模等の解説があり、
 高解像度化(XGAが中心)高輝度化(155ルーメン以上が中心)、小型軽量化、低価格化が進む様子をデータにより
 解説された。

 テクノロジー別では3LCD73%、DLP21%、その他6%であることが示された。
 プロジェクタ光学技術と動向に関しては代表的な透過型3板式光学系について断面図により詳しい解説がなされた。
 光源となる超高圧水銀ランプについてはランプ発光スペクトル、インテグレータ照明などについての解説があった。
 LCDパネルについては構造、原理の説明があり、ダイクロイックプリズムの紹介があった。

  さらにDLP(1-chip)方式の概略についての解説があり3LCDとの優劣比較がなされた。
 その他の方式として3-LOCS方式の概略の紹介もあった。最後にプロジェクタ回路技術と動向の解説があり、
 回路基本構成、映像信号入力、映像情報入力、接続インタフェイス(EMP-835)、画像処理SOC、画像処理機能、
 LCDパネル制御・駆動、IO制御機能等についての解説があった。

  LSIへの課題・要求に関しては、輝度、画質等の基本性能の更なる向上、設置場所、使用環境、使い易さ向上
 (台形補正、PCレス使用、ワイヤレス接続と高速化、映像信号インタフェイスのデジタル化)等が取り上げられた。

  SoC、ASICへの期待としては画像処理SoCの新規メーカ参入の期待も取り上げられた。さらに高機能IP、
 高速RAM、インタフェイス系、動画無線転送の高速化、アナログ、デジタル混在ASIC実用化等に関する期待
 が述べられた。
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IP・設計部会レポート
2004.11.10            第17回 IP・設計部会       JASVA通信43号に掲載
「LLC制度とこれを活用したベンチャー連携のケーススタディ」

講師: 齋藤 旬氏 (株)ニコン コアテクノロジーセンター 事業開発部事業企画課 主幹研究員

  2004年11月10日18時〜20時、東京・千代田一ツ橋の
 日本教育会館において第17回JASVAIP・設計部会が開かれた。

 第17回IP・設計部会は(株)ニコン コアテクノロジーセンター
 技術戦略部主幹研究員の齋藤旬氏が 「LLC制度とこれを活用
 したベンチャー連携のケーススタディ」と題する講演を行った。

 齋藤氏はニコン以外にも技術研究組合極端紫外線
 露光システム技術開発機構や東京大学先端科学
 技術研究センターなど多方面で活躍されている。

 今回はアプリケーションマーケットシリーズをお休みして、会社
 でもない組合でもない行政組織でもない全く新たな産業組織体
 --LLC制度(Limited Liability Comapany :
 有限責任カンパニー
)--のベンチャー起業にとってのメリットや
 ベンチャー連携とのケーススタディ具体例について、ご講演を
 いただきました。

第17回IP・設計部会で講演する齋藤氏

  LLC制度は、19世紀末欧州で考案されたGmbH制度というひな形に、パススルー税制;『複数LLCで構成される
  組合の中で、複数LLCの損金益金を合算し、合算所得に一回だけ法人税を課す』を組み込み、1977年米国
  ワイオミング州で制度スタートしました。
  以来、90年代の10年間に全米に爆発的に増加し、今年8月4日の米国内国歳入庁(IRS)の速報によれば、

  米国LLCは946,130社(2002年)、つまりほぼ百万社に達しています。

  産業発展を促す為の制度作り競争(Regulatory Competition)という、新たな世界大戦の結果、自然発生した
  LLC制度は、(日本以外の)全世界に普及し、産業界にAlliance 作りを促し、産業構造に「独立採算制から
  提携採算制(AllianceProfitability)」というドラスティックな変化をもたらしました。

  講演では、このLLC制度が従来の会社制度と如何に違うかを解説し、活用例を説明します。
 更にLLC制度にはパススルー制度以外にも「無形財産の当事者評価額出資制度」が組み込まれており、

 「裁判所が選任する検査役(弁護士等)」による鑑定が不可能なEarly Stageの知的財産や人的資本も出資対象
 となり得ます。  この点が、「ベンチャー起業」にとって不可欠であることを強調します。



LLCが必要になった理由

    @“死の谷”になってしまったR&Dを行う為、
    A一国のフルセット型産業ではなく、世界チャンピオン達を集めたドリームチームで“ものづくり”を行う
      ためという。
 技術系ベンチャーの多くは創業後技術の商業化が円滑に進まず、ゴールにたどりつく前に死に絶える。
 この越えがたい谷間を死の谷と呼ぶが、死の谷への日本の対処法は、相も変わらず、国が一旦お金を
 集めて、行政ないしは第三者が評価するテーマに注入するやり方で、もう十年近く行っているにも
 かかわらず成果は思ったほど上がっていない。

  欧州では、将来の経済成長をもたらしてくれる産業分野・技術分野を予測する事は困難である事は
 散々言い尽くされている。
  特定の分野に助成金を出す事が必ずしも公的資金の最も有効な使い方とは言えない。
 それよりも、減税することで財政的恩恵は全ての業種に及ぶのだから、マーケット自身に“どこに競争力
 強化のタネが眠っているのか”を探し出させる効き目がある。
 すなわち、助成金の代わりに法人課税を止めて産業自治を、と言う訳である。

  次いで501(c)(3)LLCの紹介があった。
 米国非営利団体501(c)(3)は日本で言えば「認定NPO」に相当。
 SRC(Semiconductor Research Corporation),ニューヨーク州立大学研究財団等は501(c)(3)である。
  強者を救済するシステムが必要だが、政治、行政の役目は弱者救済が主体である。
 501(c)(3)は強者救済の仕組みのひとつである。

 501(c)(3)団体の特典
  @連邦所得税の免除、
  A連邦失業税の免除、
  B郵便通信代の軽減
  C寄付金・出資金の寄付・出資元での損金算入(=所得免除)等である。

  米国にとっては、LLCは比較的新しい組織法制である(1977年ワイオミング州で始まる)。
 非営利セクターが急激にLLCを活用するようになった。LLCは出資元に損金特に減価償却損金をパスする
 ーできることがその利用である。
 Contribution-deductible LLCのメリットは委託研究費の二重控除の出資元での合算である。
 出資元の限界税率を45%とすると、10億円の出資に対し9億円の節税効果が得られる。
 これは使途指定納税、産業自治、強者救済を意味する。
 米国ではContribution deductibleな組織が要となって強者救済仕組みが出来ているが、日本ではこれから
 設立が予定されている“合同会社”、“日本版LLP”とも、営利目的に縛ってあり、Contribution-Deductible
 な組織にはならない、したがって強者救済にはならない。

 鉱工業技術研究組合と501(c)(3)を比較説明がなされたが、鉱工業研究組合の場合、主務大臣の許可が
 必要、無限責任者が少なくとも一人必要、節税効果が二重では無いなど、不利な点が目立つ。

 次いで組合課税と法人課税との比較、企業会計と税務会計との比較の説明がなされたが紙面の都合で
 省略する。

 LLCとは米国では法人と組合のHybridと説明されるが、日本では法人と峻別された組合の定義が無い
 ので、この説明では理解できない。

 LLCの4大特徴
  @法人格を持つ組合課税対象Entity(事業体);米国ではHybrid Entityと呼ぶ。
  A全出資者の閉鎖型有限責任
  Bパススルー課税、組合課税、構成員課税、Single Taxation (殊に国際パススルー)
  C定款自治;出資形態のフレキシビリティー、無形財産の当事者達評価が可能。
 
 米国ではLLCがこの十年で急激に勃興し2002年時点で94万6130社に達した。
 日本は再来年に合同会社が施行、日本版LLPが来年施行されるが、LLCへの道は遠い。

 LLC制度では
  @全出資者が有限責任;リスキーなテーマにチャレンジできる
  Aパススルー;損金が出ても出資元に節税メリット有、アライアンスが促進される、
    ドリームチームの形成が促進される
  B組合会計;早期無形財産の当事者評価が可能、冒険的テーマにいち早く乗り出せる、等々の
    メリットがある。

 最後にドイツ版LLCの事例としてAdvanced Mask Technology Center GmbH&Co.KGの紹介があった。
 これはAMD(Advanced Micro Device)、Infineon( Siemens社の半導体会社)、Dupont(トッパン)の3社
 によるジョイントベンチャーである。

 組織体においても日本は国際競争力を失いつつあるとの危機感を感じさせられる講演である。
この問題に興味のある方は http://www.llc.ip.rcast.u-tokyo.ac.jp/  へアクセスを。
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2004.12.10            第18回 IP・設計部会      JASVA通信 号に掲載

T:「次世代300mmFab枚葉搬送SystemSolution」
講師: 
林 武秀氏   e-CATS 代表            

U: 「次世代300mmFab枚葉搬送システム」     
講師: 
中澤聖一氏  みずほ情報総研(株) 上席執行役員

     日本半導体ベンチャー協会(JASVA)主催、第18回IP・設計部会開催のご案内をお送りします。

    今回は、SoC時代のクリーンルーム内の搬送、枚葉式管理&処理技術について、ハード・ソフトの

   両面から、イーキャッツ 林氏、みずほ情報総研梶@中澤氏のお二方にご講演いただきます。

   日本発のオリジナル次世代300mmFab枚葉搬送システム創造・提唱についてお話を伺います。
 
e-CATS 林 武秀氏

みずほ情報総研(株) 中澤 聖一氏


  まず林武秀氏が「次世代300mm Fab枚葉搬送 System Solution」と題して講演した。概要は以下の通り、

  最初に日本産業復活への鼓動として、日本発の地球環境に優しい新製品・新技術で日本産業復活
  を支える活動が始まったことを紹介。次いで本題に入り、搬送システムのチャレンジ項目が挙げられ、
  工場は搬送システムとプロセスの両輪でやらないと上手く行かないことを強調。
    次いで21世紀の半導体工場搬送システム像が示され、さらにガラス基板とウエハ搬送容器の変遷
  として、裸カセット、FOUPを経て枚葉搬送化と移行する姿が示された。
    次世代半導体工場生産システムSolutionとして、ミニファブ、スケーラブルファブ、アジャイルファブ
  があり、MPU、DRAM等の汎用デバイスやシステムLSI等のカスタムデバイスに適したファブが考えられる。

   次世代300mmFab形態の動向としては小規模工場と大規模工場の2極化が進むと予測される。
  その中で、小規模工場には枚葉搬送システム(Continuous EFEM)が、大規模工場ではFOUP
  搬送システムが考えられる。日系メーカは前者を指向すると予測される。
  この後、Continues EFEMシステムのコンセプトの詳細説明があり、このシステムを導入する事による
  超QTAT達成等の効果に関する説明があった。
   最後に各プロセス装置の枚葉化対応動向が紹介され、全て装置は完成済みと指摘、フローショップ
  生産方式とウエハ枚葉搬送システム導入を強く訴えた。


  次いで中澤聖一氏が立ち、「次世代300mm Fab 枚葉搬送システム」と題する講演を行った。

  まず枚葉搬送の現状と課題が取り上げられ、枚葉搬送・枚葉処理管理における既存システムの課題
  として、材料進捗単位の混在へどう対処するかがあり、ロット処理と枚葉処理が混在したライン構成は
  情報システムにとって大きな問題である事を指摘。
    今後のMESに求められる要件・機能を取り上げ、投入から完成までの一貫管理、スタイルに合った
  トラッキングレベルの設定、収集データの有効活用等が挙げられた。そして、これらの課題に対する
  ソリューションが提案され、あらゆる生産スタイルに迅速かつフレキシブルに対応するシステム、
  生産データを有効に活用するレポート機能、メンテナンス効率を改善するシステムアーキテクチャー、
  複数サイトにわたる各工場の情報統合等からなるソリューションが詳細に解説された。

  装置もほぼ完了、搬送機も実現可能である。
  問題はどこが最初に実施するか?枚葉式実現はそう簡単ではないという事を強調された。


  講演後の質疑応答では予定時間を大幅に越え、枚葉式の実現を巡り白熱した議論が展開された。  
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